キン肉星王位争奪戦決勝。
壮絶な試合の末、両チーム共に残すは大将の二人のみ。
キン肉マン対キン肉マン・スーパーフェニックスという因縁の大一番が佳境に差し掛かろうとする頃、ネプチューン・メッセージに呼応した正義超人軍団はスグルの応援にかけつけるため大阪城を目指していました。
そんな中、集団の先頭を走るテリーマン達の視界にボロ布を纏った一人のババァ(※フェニックスの歳を考えればそこまでババァというような年齢ではないんですが)が現れます。
「わが愛息フェニックスマンよ…おまえはキン肉星の正当な王子ではない…邪悪五神にたぶらかされておるのじゃー!」
なんとそのババァはJC版24巻で息を引き取ったと思われていたフェニックスマンの母親・フェニックスシズコでした。
愛息の愚かな行いを止めるため、病身を押して単身キン肉星から500億光年離れた地球までやってきたのです。
親の鑑のような凄まじい行動力ですね。
でもこのシーン、よくよく考えると不思議じゃないですか?
部屋の隅でニヤニヤしているだけの息子と寝たきりの母が僅かばかりの農作業で生計を立てている、そんなお世辞にも裕福とはいえない家庭に500億光年を移動できるだけの路銀があるとは考えにくい。
もしかするとフェニックス太郎の保険金が多少入ってきたり、労災がおりたのかもしれませんが、向う見ずに良くも悪くも息子のことを優先する独善的なシズコのことですから、金が入れば即フェニックスマンのために使っていたと考えられるでしょう。よって渡航に使えるほどの貯金はまず無いものと予想できます。
路銀がないとすれば、自家用の宇宙船で来たという可能性もあると思いますが……
父・フェニックス太郎は愛妻と愛息の産後退院という一家の門出をボロボロのリアカーで迎えに来ました。
シズコもそれをさも当然のように受け入れています。
その様子から判断して(当然といえば当然ではありますが)フェニックス家が自家用の宇宙船を所有していたという可能性もほぼゼロ。
超人らしく宇宙空間を飛んできたという可能性は、シズコが病弱であることと、50億光年という異常すぎる距離を考慮し却下。
路銀も無ければ宇宙船もないフェニックス家。そんな中、シズコはどうやって地球までやってきたのでしょうか?
今日はこの謎に迫ってみたいと思います。
目次
そもそもキン肉星から地球までの交通機関は存在するのか?
路銀の問題は取りあえず置いておくとして、シズコの旅路を探るために最初に検証するべきなのはキン肉星と地球の間に公共交通機関が存在するのか?という問題です。
もし存在するのであれば、路銀さえ作れればシズコが地球に来ることが出来たのも不自然ではないということになります。
確認すべきなのは人々の往来ですが、作中でキン肉族の中で地球に出入りしているのは王族とその一部の関係者のみであり、キン肉族の一般人が観光等で訪れているといった描写もありませんし、地球人がキン肉星を訪問している様子も確認することはできません。
それに加え、地球(特に序盤)でのキン肉星の王子であるスグルへの不当な扱いを考えれば、地球とキン肉星の間に交流らしい交流はほぼ無かったと考えるのが自然ではないかと思います。
行方不明となっていたスグルの発見まで十数年ほどかかったことも(あの特徴的な容姿ですし、ある程度の交流があればニュースにもなるでしょうから、普通はすぐに見つかるはず)ほとんど交流のないことの裏付けとして機能しますね。
これらを根拠としてキン肉星と地球の間に公共交通機関は存在しない可能性が高いと推測することが出来ます。
この仮説から、シズコが何らかの手段で路銀を用意できたとしても移動手段が無いので地球に向かうことはできないという事になります。
仮説その1
今まで現実的にやれ路銀だ、宇宙船だという話をしてきましたが、
そもそもキン肉マンという作品には……
ワープゾーンを作り出せる超人やら、
任意の場所に瞬間移動できる超人という距離の概念を超越できるとても非常識な連中がいます。
彼らのような存在に協力を仰ぐか、あるいはシズコがその力を使えれば地球に向かうのは大した問題ではないという事になります。
ただ、シズコは大阪城へ向かう途中の道で迷っていましたので、恐らくは能動的にこれらの能力を使って地球にやってきたワケではないと考える方が自然です。
仮説その2
こちらも仮説その1に近い説となるのですが……
邪悪五神によるスグルへの不自然な扱いに疑念を持った100人の神の誰かがシズコに助力したという可能性が考えられます。
作中でのシズコ再登場のタイミングが計算され尽くしており、彼女の登場はスグルにとってあまりにも都合が良すぎるというところがポイント。ゆで神の力を感じます。
この説は、何故かシズコが知性の神だけでなく、他の邪悪神もフェニックスに助力していることを知っていたという疑問への回答にもなります。
この仮説が正しければ、シズコは「神のお告げ」だのといきなり喚き出した息子に見放された後、寝たきりのまま途方に暮れる日々を送るも、突如現れたスキンヘッドの顔だけの超人の神と名乗る異形に邪悪五神と息子の関係、そして彼らの思惑を知らされて失意のまま半ば強引に右も左もわからない大阪城の近くの森まで転送されたという事になります。なろう主人公ばりに設定が盛られすぎでババァかわいそうです。
物語性というものを考えた場合、この説はあり得るように思えます。
仮説その3
最後はコチラ。作中で語られているシズコのある能力を使ったものです。
作中でシズコは筋肉の滝(マッスル・フォール)と呼ばれる王家の墓所に赤子を連れ立って何度も忍び込むという離れ業をやってのけています。
この滝はキン肉宮殿の敷地内にあり、当然多くの警備を潜り抜けなければ辿り着く事は不可能であると推測できる場所です。
つまりシズコは……
隠密能力に長けていたということです。
シズコはその卓越した隠密能力を使い……
スグルの即位戴冠式のために地球に向かうキン肉王族の公用船に密航していたと考えることができます。
フェニックスがシズコの前から姿を消す際「オレがキン肉星の新しい大王になることになった」と言った直後からシズコの密航計画は始まったのです。
結論
ぶっちゃけ、シズコの隠密能力と密航がイメージ的に結び付いたので書き出した考察なのですが、少年漫画的な意味ではやはり仮説2の超人の神が力を貸した説が無難な気がします。
よくよく考えれば、キン肉王家の警備はサダハルの件や黄金のマスクの件からみてもザルですからね。
それでも子連れのババァが忍び込めるのはザルすぎだと思いますが……。
やはり個人的にはシズコ密航説を押したいけど、少年漫画的に超人の神が力を貸した説を結論とさせて頂きます。
コメント
キン肉マンが帰省のためロケットに
キセルしていたので公共交通はありそうですよ。
ぽんすけさん
コメントありがとうございます。
それは気付きませんでした、今度確認させていただきます。
ちなみに巻数はキン肉マン7巻で正月にキン肉星に帰省する際にロケットをキセルしています。静子も公共交通をキセルするくらいはやりそうですよね。